「オプジーボ」と「ヤーボイ」の併用治療について

 

   前回に引き続き「併用治療」についてです。

 

  人間の体内には「免疫機能」があり、この免疫機能を司る「ヘルパーT細胞」の働きが不十分であるときは、免疫細胞が特定の癌細胞をピンポイントで攻撃する機能が低下します。

 

   一般に「CTLA4」分子が介在するとヘルパーT細胞の活性化が抑制され免疫細胞による癌細胞への攻撃力が弱まり、「PD1」分子が介在するとヘルパーT細胞の活性化は阻害されないもののその後活性化したヘルパーT細胞の働きを抑制して免疫細胞による癌細胞への攻撃を止めてしまいます。それ故、免疫細胞の癌細胞への攻撃のブレーキを防ぐためには、ヘルパーT細胞の免疫機能を活性化する必要があります。そこで開発されたのが、「オプジーボ」や「ヤーボイ」のような「免疫チェックポイント阻害剤」です。

「オプジーボ」は中断した癌細胞への攻撃を再開させ、「ヤーボイ」は癌細胞への攻撃を強化する働きがあります。

 

 

[オプジーボ]

PD1」分子に働きかけて癌を攻撃

[ヤーボイ]

CTLA4」分子に働きかけて癌を攻撃

 最近、免疫細胞の癌細胞への攻撃のブレーキをできる限り解除し免疫機能を増強させるために、この2つの薬剤を併用する臨床研究が行われるようになりました。その臨床研究では、以下のような成功した癌治療に成功したケースもあります。

 

  「4年前、49歳女性に4ミリ強のメラノーマができ手術でそれを取り除いた。しかしながら、おおよそ2年半後に左胸に転移が認められた。2つの薬を3週間ほど使用したら、6週間後の検査で背中及び左胸の腫瘍が見事に消失した。」(日刊ゲンダイ引用)

 

 不作用については言及されていませんが、この併用治療による副作用はなかったのではないでしょうか。上記ケースでは、2つの薬剤の併用投与することで手術では取り除くことの出来なかった悪性腫瘍を完全に除去することに成功しました。そういう意味では、この併用治療は手術よりも癌治療に効果があったと見ることができなくもありません。薬で癌を治すことができる日もそう遠いことではないのかもしれません。