ラジウム温泉 ラドン 三朝温泉

 次に、三朝温泉について説明します。

三朝温泉

三朝温泉

 三朝温泉は、三徳山の見下ろす山間にあり、ウラン鉱山である人形峠の地下水が湧き出た温泉です。平安時代の1164年に、源頼朝の家臣大久保左馬之助が白い 狼の命を助けたことで発見されたことがルーツになっています。当時から「不老長寿の湯」「薬湯」とも呼ばれていました。泉質は無色透明のナトリウムと塩化物ラドンで、リウマチ性疾患、痛風、高血圧症、動脈硬化症、糖尿病、喘息に効果があると言われています。三朝温泉は療養温泉としても有名で、温泉療法を実施する医療機関が複数あり、中でも岡山大学病院三朝医療センターは、大学の病院として複合温泉療法などを取り入れた医療機関として設立されました。

 この三朝温泉のラドンの含有量は46.4マッヘで、世界有数のラジウム含有量を誇る日本屈指の名湯として知られています。岡山大学医学部がこの三朝温泉のある鳥取県三朝町住民の約40年の癌死亡率を調査した結果、三朝町住民の癌死亡率が極端に低いことが判明しました。その理由は、土壌や岩盤から発生するラドンにありました。医療センターや三朝温泉病院では、温泉を活用した療法やリハビリが行われ、今では全国から三朝温泉への来訪者が増えています。

 三朝温泉のお湯を飲みラドン222を消化器を通じて体内に取り込むと、ラドン222は細胞を刺激し新陳代謝が活発になり、免疫力・自己治癒力・抗酸化作用が高まり、血液の老廃物質と悪玉コレステロールを排出する働きが活発になる効果を生じると言われています。

 岡山大学病院三朝医療センターでは、ラドンには以下の効果があると発表しています。

1 免疫を活性化する

2 ホルモンの分泌量を増やす

3 DNAを修復する

4 痛みを緩和する

5 外敵からの身体への抵抗力を高まる

 以上5点です。この効果をホルミシス効果と言いますが、岡山大学病院三朝医療センターでは、このホルミシス効果を利用した温泉療法やリハビリを行っています。三朝温泉に関して言えば、周辺住民の癌死亡率が低いことが特質すべきこととしてよく挙げられますが、それ以外にも関節リウマチ・神経痛・喘息・高血圧・動脈硬化・糖尿病の治療の目的で来訪者多いことで知られています。

 最後に、三朝温泉の癌死亡率について簡単に説明します。日本全体の癌の平均死亡率を1.000としたとき、三朝温泉地区の全癌死亡率は男0.538、女0.463で、三朝温泉周辺地区では男0.850、女0.770です。肺癌の死亡率については、三朝温泉地区の男0.475、女0.187で、三朝温泉周辺地区では男0.926、女0.369とです。三朝温泉地区と三朝温泉周辺地区における全癌の死亡率と肺癌の死亡率は、全国平均と比して有意に低く、このデータをベースに見た限りでは、ラドンと癌死亡率の低下の結果の間に相関関係があるのが窺えます。