ラドン浴療法と癌について
メールで以下の質問を受けました。
貴社(「通販ショップ 水素の力」のこと)のホルミシスラドンは癌の治療にどの程度効果がありますが。もし、具体的な実験・臨床結果があったら教えて頂けませんか?法律上、商品の効果・効能を謳うことは禁止されているのは知っています。それで、ラドンが癌治療に効果があったケーススタディを教えて下さい。
上記の質問に対する回答は以下の通りです。
低線量放射線(=ラドン)が癌治療に効果があったことを調べた臨床研究・結果を2つ示しました。
例1)坂本澄彦東北大学名誉教授がTD50法で低線量放射線による癌細胞へ与える影響を調べた実験があります。TD50法とは、腫瘍細胞をラットに移植し、ラットの50%に腫瘍を生じさせるのに必要な腫瘍細胞数と調べた実験です。この場合、イメージ的には、低線量放射線=ラドンと考えて頂いて差し支えありません。低線量放射線を照射しなかったケースでは9個の腫瘍細胞で半数のラットに腫瘍を生じさせたのに、低線量放射線を照射した方は15個の腫瘍細胞が必要でした。このことから、低線量放射線(=ラドン)には癌細胞の増殖を抑制し、免疫力を高める作用があることが推察されます。
例2)坂本澄彦東北大学名誉教授が、高線量放射線の局所照射では治すことが難しい悪性リンパ腫の患者に低線量放射線を全身照射する臨床治療を行った時のものです。この時使われた低線量放射線は1回あたり0.1グレイ、1回おきに15回、1.5グレイの総線量でした。高線量放射線の局所照射のみの場合に10年後生存率が50%であったのに対し、高線量放射線の局所照射のみならず低線量放射線の全身照射を併用した場合の10年後生存率が84%まで上昇する結果が得られました。
ラドンは、放射性物質ラジウムが壊変した過程でできた物質ですので、放射性物質=ラドンと考えても問題ないはずです。上記2つの事例は低線量放射線が癌治療に有効に作用したケースで、ここから低線量放射線には癌細胞の増殖を抑制する作用があると考えられています。以下にその作用が働いた3つの理由を挙げました。
(1)p53細胞の生成
p53とは「癌遺伝子抑制細胞」のことで、細胞が癌化した時アポトーシス(自死)させる効果があり、低線量放射線には、このP53癌抑制遺伝子を増殖させる作用があると考えられています。
(2)抗酸化物質の生成
身体の細胞を傷つけるものに「活性酸素」があり、この活性酸素による体の細胞の酸化が病気の原因と言われています。しかしながら、この「活性酸素」による酸化を防止・抑制(還元作用)させる物質に抗酸化物質があり、低線量放射線にはこの抗酸化物質を生成し、活性酸素による酸化を防止・抑制する作用があると考えられています。
(3)免疫システムの安定化
「免疫系」と呼ばれる防御システムに「Th1免疫系}「Th2免疫系」の2つがあり、「制御性T細胞」という細胞がこの2つの免疫システムを制御しています。Th1が弱まると癌に対する防御力が低下し、Th2が強く働きすぎると抗体が自分の細胞を攻撃して花粉症やアトピーなどのアレルギー反応を起こすと言われています。それ故、癌細胞の増殖を抑制するためには、免疫系のバランスを調整し、Th2が必要以上に強く働きすぎて、Th1が弱まらないようにすることが重要です。低線量放射線には2つの免疫系のバランスを保持し、癌への防御力を司るTh1免疫系のシステムが弱まらないようにする作用があると考えられています。
低線量放射線には、(1)癌抑制遺伝子の生成(2)抗酸化物質の生成(3)免疫のバランスを保つ3つの作用があり、この3つの作用が有効に働いたために、癌細胞を抑制(臨床研究1参照)し、癌罹患後の生存率(10年後)を上昇させる結果(臨床研究2参照)が得られたのではないかと考えます。
自身からは以上です。