丸川環境相にはせめてIAEA報告を読んでほしい 編集部

 

放射線の正しい知識を普及する会 ニュースレター 第5号/平成28年春号

 

 東京電力福島第一原発事故後に、国が除染の長期目標を掲げた「年間1ミリシーベルト以下」をめぐり、丸川珠代環境相が7日長野県松本市の講演で何の科学的根拠もなく時の環境相が決めた」と発言したとされる問題で、丸川氏は12日の閣議後の会見で、「根拠がないという言い方は間違いだったと思う。」と失言を認めました。 

 残念ながら、日本の環境問題に責任を持つべき立場の方が、このようなあいまいな姿勢では、風評被害への対策も立ちいきません。丸川氏はせめて、2013年10月のIAEA報告書、せめてそれを報じた読売新聞や産経新聞の記事はお読みになって頂きたく存じます。

 

 IAEAはこの時点の報告書で、年間被爆線量を「1ミリシーベルト以下」にすることについて、「必ずしもこだわらなくてもよい」との見解を示しています。より具体的には、現実的な目標値は「国際的な基準である年間1〜20ミリシーベルトの範囲内で、利益と負担のバランスを考え、地域住民の合意を得て決めるべきだ」であり「1ミリシーベルトは除染だけで短期間に達成できるものではないことも、もっと住民に説明すべきだ」と述べています。これは様々な立場の科学者の間で考えられた国際的な基準で、もちろん、20ミリシーベルト以上でも問題はないとする科学者もいらっしゃいます。少なくとも、この範囲内であれば問題ないというのが、国際認識というものです。

 

 何の専門的知識はなくとも、この程度の事は過去の新聞記事を読めばチェックできるのです。1ミリシーベルト以下でなければ健康への影響は出るという科学的根拠はありません。ですから、丸川氏はそのことを堂々と語り、基準値の見直しを国際基準に合わせることを主張することこそ環境相の仕事なのです。まことに残念ながら、十分な勉強もされず不用意な発言を行い、しかもご自身の正しい発言までも否定してしまっては、この問題の理解は進むはずもありません。丸川氏は是非、もう一度国際基準について学んでいただき、福島復興のために何をすべきかを語って頂きたいと思います。