糖尿病   豚の細胞で改善

 

 読売新聞に豚の細胞を使い糖尿病の治療に成功した話が掲載されていました。面白いと思ったので一部掲載します。興味のある方は、是非、御覧下さい。

 

 大塚製薬工場は、糖尿病治療のため、豚の膵島をカプセルに封入して移植する臨床研究をアルゼンチンで患者4人に実施し、全員の血糖値が下げられたことを明らかにした。    臨床研究の対象者は、膵島の細胞が破壊され、血糖を下げる働きのあるインシュリンを分泌できない1型糖尿病患者。  豚の膵臓から採取した膵島をインシュリンが滲み出るように加工し、体重1キロ当たり2万個を2回に分けて点滴で腹部に移植。

 

 血糖の状態を示すヘモグロビンA1cは4人全員下がり、平均値では2年以上にわたり糖尿病治療の目標となる7%未満を維持した。

 

 以上です。

 

 なお参考までに、糖尿病について簡単に説明します。糖尿病には1型と2型があります。

 

1型糖尿病

自らの細胞を攻撃する自己免疫によりインシュリンを分泌する膵臓のβ細胞が壊れることにより生じる。

 

2型糖尿病

生活習慣の乱れによってインシュリンの分泌が悪くなり、効果が出にくくなる

 

 上記臨床研究では、豚の膵島を移植(「再生医療」)してインシュリンが分泌できるようにすることで糖尿病の治療に成功しました。インシュリンが分泌できないと血液中の糖分が脂肪にエネルギー源として変換されない為、変換されなかった糖分が血液中にそのまま残ってしまいます。それが原因で、血液中の糖分の量が増え「糖尿病」を引き起こします。

 

 この臨床研究では、豚の膵島の移植が功を奏し、糖尿病患者の膵臓はインシュリンを分泌するようになり、糖尿病患者の血糖値は下がります。

 

   本来、安全性の点から、「豚」ではなくて「人間」の膵島を移植すべきところなのですが、数に限りがあり豚の膵島を臨床研究として用いたものと思われます。

 

 その点では、再生医療一般に当てはありますが、安全性の点で問題があるでしょう。

 

 もっとも、この臨床研究に限定して言えば、人体への安全性への配慮もなされています。

 

 具体的には、

 

 豚のウィルスなどが人へ感染するのを防ぐ為、無菌の清潔な環境で豚の間に生まれた子供の豚を移植に使われました。その甲斐あってか、糖尿病患者はウィルスへの感染することなく健康被害は生じませんでした。(読売新聞の記事を一部そのまま引用)

 

 

   上記臨床研究では、移植された膵島が「無菌の清潔な環境で豚の間に生まれた子供の豚」の膵島だった為なのか、副作用や健康被害は生じませんでした。しかしながら、人間以外の細胞を人間に移植するのは安全性の観点から問題が全くないとは言えません。

 

 

   確かに、再生医療は様々な病気の治療にかなり効果が期待できますが、同時に、健康被害が生じる可能性が否定できません。それ故、主作用(病気の治療の効果)を上げ、一方、健康被害の可能性を0になるよう、治療の前段階である臨床研究の段階でチェックし、身体への危険性をできる限り排除する事が重要であると考えます。